ブログっぽいもの

広報担当のつぶやき

vol.1 はじめまして

初めまして、広報担当の永井俊朗です。
私は石川県の山奥に生まれ育ちました。
少年時代はスポーツに明け暮れ、中学校時代には水泳とクロスカントリースキーの両方で全国大会に出場、水泳は全中9位、スキーは全中3種目入賞という、大谷翔平顔負け(失礼)の二刀流で、この頃は一生スポーツをして生きるんだろうなぁと思っていた。
高校、大学はクロスカントリースキーに専念し、全日本選手権で入賞したりもしたけど、この頃には現実も見えてきたりして、一生スポーツをするイメージもなくなっていたなぁ。

大学卒業後は地元の建設会社に勤め、施工管理の仕事をしながら地域おこしを少々。
建設業では、工事表彰貰ったり業界紙で論文を書いたり、それなりにのめり込んで成果も出ていたが、地元の過疎が進むにつれ、元々あった地域おこしへの思いもどんどん湧きあがったりしていた。

vol.2 地に足がついていない

始めは泥臭い生活支援ボランティアや文化継承から始まった地元の地域おこしも、どんどんと発展していき、いろいろな地域おこしのプロやアーティストなどが出入りするように…。

その中で、アーティストの一人として参加した舘そらみが言った。

「ここの人たちは、どこか地に足がついていない。」

当時の私にはあまり腑に落ちなかったこの言葉から、
このプロジェクトが始まることになる。

vol.3 山の神だ!!

リサーチを進めるうちに、その違和感の正体をつかもうとした舘そらみと、その場に偶然居合わせた舞台美術家坂本遼が、村人を集め「四季の話をしてください」と言い出した。

そんな話を聞いて楽しいか?と思いながら、話しだす村人たち。
結果、この話によって村人の正体が暴かれることになる。

村人たち 「一月の雪は青くて、どんどんと赤くなっていくよね。」
「!!?」

その後も数時間に渡って繰り広げられる理解不能な感覚的会話に、舘そらみと坂本遼はショートしつつ、ある結論に達する。

ここの村民たちは「山の神」だ!

vol.4 自然なんて…

我々にとって自然なんてものは、そりゃあ、そこにあるから釣りもするし山菜もキノコもクマもとって食う。
抗っても仕方がないから利用して遊ぶし、生き死にの問題だからよく観察する。
今更誇るものでもないと思っていた。

舘そらみ曰く、自然そのものではなく、
あなたたちの「山の神」っぷりが面白い。

そう言われてみると、
地元をなんとか観光地として成功させようと躍起になっていた我々は、歴史がどうとか、建物がどうとか、文化がどうとか、分かりやすく独自性が高く人の興味を引く(と誰かに言われた)ものを、地域の魅力として語るようになっていた。

自然の話を面白がる二人を見て、
(後から聞いたら話をする我々を面白がっていたようだったが)
「こんなのを面白がってくれるんだ!」とお墨付きを得た気分の我々は、
「こんなのならいくらでも話せるよ!」とさらに調子に乗って話すのであった。

vol.5 地に足がついていない。の正体

地に足がついていない。

それは、地域に住む人たちから語られる言葉たちと、その人たちにある、本当の心象風景や原動力の違いから生まれた違和感だったのではないかと思う。
始めその言葉を聞いたときに私にあった違和感も、あまりに生き生きと、自然と共に生きることを語る村人を見て、とても納得してしまった。

事実、私に本当に根付いていたものも、建物や踊りを美しいと思う気持ちではなく、イノシシ相手にとっさに傘を構える野性味や、イワナの居そうな淵を見極める嗅覚であった。
そんな野生の人間たちが、「建物が綺麗でしょ」と言っているわけだから、そりゃあ「地に足がついていない」はずだ。
要は、原住民族のはずの村人の多くが、ガイド化してしまっていたわけである。

vol.6 本性

もしかしたら、その気づきは地域おこしには繋がらないのかもしれない。
地域おこしに正解なんてなくて、一つのアクションで変わることもあれば、
何をやっても上手くいかないこともある。
この村も、きっと放っといても良くも悪くも変わっていく。

色んな流れに揉まれ、試行錯誤を繰り返していくうちに、
村人たちがどんな鎧を着てどんな言葉を使うかは分からないけど、
その鎧の中の人たちが、変わらず誇りをもって立っていられるように。
そのために、村人の「本性」を暴き、具現化する。

これは地域おこしではなく、

一人ひとりが素直に立つための、我々なりのアート作品である。

と、私は思う。

vol.7 アーティストによる本気の遊び

てなわけで、脚本家・演出家の舘そらみを中心に、
舞台美術家の坂本遼ランドスケープデザイナーの吉田葵カメラマンの大橋翔生粋の田舎者の永井俊朗によってこのプロジェクトは始まった。

難しいビジネス知識も、大きな資本もないけれど、
アーティストだからできることがある。
我々なりの最大リスペクトの上で、土地と人を舞台に本気で遊ぶ。
それが超面白い作品になるし、地域のビジョンになる。
なんて思ったり。

ここに至るまでの議事録なんかもめちゃくちゃ面白いから、
きっとどこかで公開したいなぁとか思っている。

今回は第一弾だけど、どんどん色んな土地でやりたいなぁの思い。
土地によって本性ももちろん違うだろうし、反対に共通するものも見えてくるだろう。
ぜひ私の地域で!の声を待つ。

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